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LINEスタンプ長者を目指して、LINEスタンプを作っています。あとは絵本や野球が好きでそんなことを語りたいです*\(^o^)/*

絵本「あな」

『あな』
谷川俊太郎 作
和田誠 画
福音館書店

 

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内容紹介
日曜日の朝、何もすることがなかったので、ひろしは穴を掘り始めます。途中、おかあさんやいもうとのゆきこ、となりのしゅうじくんやおとうさんがやってきて、いろいろなことを言います。でも、ひろしはただ穴を掘り続けます。あなの中に座り込むと、静かで、土はいいにおいがしました。ひろしは思います。「これはぼくのあなだ」。穴から見上げる空はいつもよりもっと青く、高く思えました。そして、穴から出たひろしは……。

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ひろしは何故ひたすら穴を掘ったのでしょうか?
絵本専門士であるカミサンにも訊いてみる。
「なんで穴を掘る必要があるの?」 カミサンの答えは「さあ、分からない」でした。

それなら、私も徒然なるままに想像してみよう。

ひろしは不安を感じたのではないか。
それは、日曜日の朝なにもする事もないという不安かも知れない。
それとも、私も幼い頃に感じた何か言葉にできない漠然とした不安かもしれない。
そして、穴を掘り「これはぼくのあなだ」と言っているように、外から身を守ってくれる自分だけの空間が欲しかったのではないか。

実は、私は絵本「あな」を読んだ時に、古い映画ですが「西部戦線異常なし」を思い出し、この2つの作品は似ているなあと思った訳です。
もしかしたら、絵本「あな」を読みとくヒントは「西部戦線異常なし」にあるのではないか。

西部戦線異常なし」は、戦争の最前線で戦う若い兵士、いつ死ぬかも知れない不安、不安、もう不安しかないのです。
戦場で掘られた塹壕、そこに身を潜める時だけは、いっとき敵の銃撃から身を守ることができる。

ひろしの日曜の朝に感じたかも知れない不安と、戦場の最前線で感じる不安ではレベルが違うが、穴の中で身を潜めることでいっとき身を守る。
さらに、私が一番似ていると思ったのは、穴から見上げた青空に蝶が飛んでいた事。
ひろしは、蝶を見て心が安らいだのか穴から外に出るのでした。
他方「西部戦線異常なし」では、戦場の塹壕から見上げた青空に蝶が飛んでいて、若い兵士は蝶に触れようと塹壕から手を伸ばします。
ちょっとネタバレになってしまいますが、映画では塹壕から手を伸ばした兵士は銃撃を受けて命を落とします。
その日は珍しく銃撃戦のない静かな1日で、本部への報告は「西部戦線異常なし、以上」というラストシーンでした。

そんな事を考えながら、絵本の表紙を見ると、穴から見上げた青空に蝶が飛んでいる絵、これは心の平和、安心を表しているのか?
裏表紙には、地面から穴を見下ろした絵が描かれていて、これは暗く先が見えない不安を表しているのか?
まとまりがなくなったが、絵本「あな」は掘った穴が深いだけでなく、内容もとても深いですね(≧∇≦)